居酒屋ーーーキスをあげよう―――

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泉直樹は気さくな御父様で、彼女は楽しそうにしていた―――あぁ、これが家族というものか―――。彼女は初めて、出会った時の事を思い出すと、恥ずかしさに顔を赤く染めてしまった。自分は酒乱だった。酒に弱いのに、無理して飲むからだ。友達からも、陽介からも、言われていた。
酒は時々、飲む事にしており、焼酎を飲む事にした。焼酎なら、そんなに、アルコールもないし、美味しく頂ける。彼女はホワイトデー から、泉陽介と付き合う事になり、この義理の御父様は、自分の顔をみたくて、来たらしい。可愛い子で、お洒落の得意な子なんだな―――そう、言われた。
百田冴子と水野梨乃と、真子もお祝いしてくれる事になり、結婚式の写真を壁に張った―――。
冴子も結婚するようで、幸せそうに、エンゲージリングを見せて来た。この冴子も嬉しそうだった。直樹は休みで、日本に帰ってきたようで、結婚式には出れなかったが、一緒に暮したがっていた。菜月はニコッと笑うと、『―――陽気な・・・お義父様ですね。』と、珍しく褒めていた。
『―――君は・・・息子と出会った時、泣いていたんだってな・・・何故、泣いていたんだい？』
其の言葉に、彼女は無表情な顔立ちをしてしまい、黙ってしまった。これは言わねばならない。
『―――学園長に・・・直接、退学させられたんです。私・・・自分の論文と誰かの論文を間違えて提出したみたいで、こんな下手くそな論文なんて、見てられるか？―――退学しなさい。そうお言われてしまった。』
其の言葉に、彼女は思いだしてしまい、それに両親もいないし、元々、一人っ子の家で育った。
だけど、何年も前に、母親が自殺してしまった。

―――御父さん・・・お母さん・・・