独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「明日は、由莉奈のご両親に挨拶に行こう。結婚の報告とまではいかなくても、正式に付き合いを始めると話していいだろう?」
「そんな報告、しなくたって……」
父が話を進めたからこそ、現状がこうなっているわけで、結婚を決めた報告ならまだしも、『付き合いを始めました』だなんて。
体を離し私を見つめながら、静かなトーンで質問される。
「由莉奈は俺の傍にいるためには、誰に許されなきゃいけない?」
「え?」
「どうなれば、許される?」
「それは……」
不意にリチャードさんの顔が浮かんで、ハッとする。
「私、今までずっと親の言いなりでした。仕事もなにもかも」
「うん」
穏やかに頷いてくれる海斗さんの優しさに、胸がじんわり温かくなる。
「だから私、自分が好きな仕事に就いてみたくて。今はまだ和菓子の仕事は始めたばかりですが、もっと……。あの、それで、今日、外国のお客様に、川瀬の和菓子を気に入っていただけて」
私の気持ちの昂りに、海斗さんは目を丸くして、それからその目を細めて「そう。それは良かったね」と、微笑む。
「つまり、仕事を頑張りたいってことだね」
「それは、はい」
自分の納得できる形で仕事が出来るようになったら、胸を張って海斗さんの隣にいられるのかな。
「それまではおあずけか。少し妬けるな」