独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 海斗さんは静かに続ける。

「リチャードが和菓子に興味があるのは、本当だ」

 だから、私が働いている和菓子店を紹介したの?

 次期社長から勧められれば、川瀬を選ぶに決まっている。

 私が川瀬で働いていて、手っ取り早く誇れるようにさせるために?

 それとも、やっぱり海斗さんの妻になるためには、どんな仕事でも手柄を得ているような女性でなければ、格好がつかないから?

 嫌な想像ばかり浮かんで、海斗さんの顔がまともに見られない。テーブルの一点を見つめ、涙だけは流さないように、口を真一文字に結ぶ。

「父が、染谷ケミカルホールディングスの現経営者が、由莉奈の職場を調べた。俺が婚約者にしたいと言っている女性が、和菓子屋で働いていると知り、リチャードに話した」

 海斗さんは両手を顔の前で組んで、ため息を吐く。

「信じてくれとは言わない。父が勝手にやったことだ。だからと言って、俺が全く関係ないとは言えない。失望されても仕方ない。すまなかった」
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