独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「リチャードは、忖度したりしない。父が勧めたからといって、川瀬を選ぶほど浅はかじゃない」

「でも……」

 海斗さんは重ねて言う。

「俺もずっと染谷で育ってきたから、わかるよ。意図せずに、親や会社の名前が知られて、そのせいで事が上手く運んだのかって疑心暗鬼になった時期もあった」

 それは私も同じだ。父の社会的立場が知れたせいで、持ち上げられたり、逆に偏見の目で見られたりもした。

「だからそういう面が少しでも感じられると、強い拒否反応が出るのは理解できる」

 似た境遇で生きてきた、同じ悩み。

 海斗さんは、諭すように続ける。

「今の立場をラッキーだと、恵まれていると捉えられないか。夢を叶えるために、使えるものは使えばいい」

 使えるものは……。
 そんな風に生きられたら、どれだけ楽だろう。

「今は食事にしよう。仕事に遅れるといけない」

 勧められるまま朝ごはんを食べ、仕事に行く支度をしていく。

「断るのはいつでもできる。よく考えてほしい」と言い残し、海斗さんは先にマンションを出て行った。
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