独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 そんな中、染谷社長は毛色の違う話を始める。

「染谷ケミカルホールディングスの傘下には、優秀なコンサルタント業務を請け負う企業も名を連ねている。人材の最適化をと、早急に取り掛かってもらう予定だ」

 染谷社長の言葉を受け、海斗さんは誰に言うともなく後を続ける。

「ほかの社員の手柄を横取りする人間は、必要ない」

「なんの証拠があって、言っているんですか?」

 サッと顔色を変えた早坂さんが、口早に捲し立てる。

「早坂さんこそ、なにを慌てているんです? 身に覚えがあるのですか?」

 丁寧な言葉遣いが、余計に冷酷さを感じさせる。
 早坂さんは反撃したせいで余計に窮地に立ち、強気な声は萎んでいく。

「いえ。そうじゃありません」

 私が受けたいやがらせにも似た行為を、海斗さんは詳しく知っていたのだ。

 小さな事柄を挙げればきりがないけれど、仕事を押し付けられ、それなのに完成間近で手柄を横取りされたのは、一度や二度じゃない。

 それでも表立っておおごとにすれば、父の耳に入るかもしれないとますます目立たないように心掛けて過ごしていた。

「調べるのは簡単だ。社員の使うパソコンは常に稼働時間を調べられる。資料も誰がいつ保存したのかくらい、データを調べればわかる」

 ここまでされたら、言い逃れられないだろう。
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