独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「ほかにどこに行きたかったかな。スケジュールを調整してみない? 近くの島に行くのも楽しいよ。水牛車に乗ったりしてさ」

「あ! 水牛車にも乗りたかったです」

 すごい。この短期間に、私の好みを熟知されているみたいに言い当てる。

「じゃ新しいパンフレットを入手して作戦会議をしようよ。昼は八重山そばでどう?」

「八重山そば! 食べたかったです!」

 海斗さんが提案してくれるものは全てやりたかったことで、二人で顔を見合わせて笑い合う。

 パンフレットを近くのお店で入手した後、八重山そばは海斗さんおすすめの場所へと向かうことにした。

 お店に着くと、案内されたのはテラス席のオーシャンビュー。ほどよく風と日差しが遮られた席は、絶景の上に心地いい。

 お互いに好きなものを注文すると、パンフレット片手にどこに行きたかったのか、どこがおすすめなのかを話し合う。

 楽しい時間は、不意に元婚約者との違いを目の当たりにする。

 本来は旅行の行き先を決めてから、こういう時間を過ごすことが旅行の正しい楽しみ方だよね。全てを任せきりにしていた私のせいでもあるんだろうな。
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