独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
だから、会社でも人気が高く営業部のエースである染谷さんと結婚したいと言えば、父も母も泣いて喜ぶと思う。
ただ石垣島での一件を父に話したら、泡を食って倒れてしまいそうだから、なにも言っていない。
自分の人生、自分で決めると意気込んでいても、結局は歯向かえ切れない自分もいる。だからこそ小さな反抗みたいに、父に渡された釣書も見ずに、当日勧められるまま振り袖を着た。
着物は好きだから、こういうときは艶やかな黒髪が良かったなあと、ないものねだりをしたくなる。
会食は堅苦しくしたくないという相手方の意向で、両人だけで会う運びとなった。
会うまでの間、父から相手の話を何度か聞いた。
とても優秀な人物であり、将来は親の事業を引き継ぐ有望な方だとか、色々な話。中でも私が釣書を余計に見たくなくなったのは、彼の性格が垣間見えたようなひと言のせいもある。
『会ってくれさえすれば、由莉奈に気に入られる自信があるそうなのだよ』
どんな自信家?
よほどおモテになって過ごされてきたのでしょうね。
そんな皮肉を浮かべ、見なくても想像できる華麗な経歴を目に映すのも嫌になった。