独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「さすが村岡物産のご令嬢だ。食べる所作が美しいと、石垣島でも見惚れていたよ」

「お世辞は結構です」

 冷ややかな視線を向けると、肩を竦められる。

 私だって、綺麗な所作に見惚れていたのは数回じゃ済まない。けれど、それもこれももうどうだっていい。

「冷たいな。肌を重ねた仲じゃないか」

 ゴホゴホと咳き込むと「相変わらず初心だな。ま、そこが可愛いのだけれど」と軽口をたたかれる。

「かなり雰囲気が違いますね。猫を被っていらしたんですね」

「それはそうでしょう。気に入られないといけないし」

 隠すつもりもなく言われ、胸が痛い。やっぱり知っていたんだ。私が村岡物産の娘だと。優しくしてくれたのは、全て会社が絡んでいたから。

「お父さんに、一人暮らしをお願いしているらしいね。俺と暮らすのなら、渋々了承するそうだよ」

「随分、父の信頼を勝ち得ているんですね」

 棘のある言い方に、余裕たっぷりの笑みで応酬される。

「そうだね。石垣島のひとり旅も、俺が行くのならと」

 これには息を詰まらせ、愕然とする。

 あんな偶然……全て仕組まれていたんだ。それなのに、私はなんて馬鹿だったんだろう。
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