独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「いい報告を待っているわ。由莉奈も今後をよく考えて」
厳格な父に対し、母はほんわかした人。
「お母さん。色々と迷惑をかけてごめんなさい。お父様には……」
なんと伝言してもらえばいいのかわからない。母は私の気持ちを汲み取って「大丈夫よ。泣いてしまいそうだから、見送りしなかっただけ」と、微笑む。
そうなのかな。
母は『お母さん』なのに対し、父は『お父様』と呼んでいる。呼び方の通り、父とは距離が遠い。会社を経営している父は忙しく、小さい頃から少し距離のある親子だった。
ひとこと言いたくても、顔を見たらどうせ言えなくなるものね。
そう考えると、会わなくて良かったのかもしれないなと、思うことにした。
父に仕向けられた話を、断ることなど許されないのだから。