独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「着替えてくるとは思わなかったな」

 会食の席ではお見合いということもあり、振り袖だった。さすがに今から一緒に暮らそうとしている家に、着てはいけない。今は普段の洋服に着替えている。

「あの、離してください」

 弱々しい訴えは聞き入れてもらえず、海斗さんは話し続ける。

「今の姿も可愛いけれど、振り袖すごく似合っていた。栗色の髪と薄い黄色の着物に合っていて、その場で押し倒してしまいたくなった」

 首すじにキスをされ、体が跳ねる。あの日の夜を思わせる突然の甘い雰囲気に、戸惑いを隠せない。

 後ろから抱き締めていた腕はお腹に回され、そっと優しく撫でられる。

「今、何週目?」

「え?」

「自分では気づいていないかもしれないが、無意識にときどきお腹に手を当てているよ」

「それは……」

 思わぬ指摘に言い淀む。

「言いたくなったら教えて。それとも不安で検査できていない? 妊娠初期でもトラブルは起こるらしいから、早めにきちんと調べてもらった方がいい」

 妊娠していたら、本当は迷惑なのでしょう?

 そう思っているのに、その言葉は口から出ていかない。

「怖いのなら、付き添うから言って」
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