独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
父に私をお願いされたから、傍にいてくれるだけなのでしょう?
私が押し切った一夜だけの関係のはずなのに、どうして優しくするの?
会社が絡む間柄だから?
だから結婚までするんですか?
後から後から湧いてくる疑問は口に出来ず、貝になったように口を固く閉ざす。
それなのに、海斗さんは私に穏やかに話しかけるのをやめない。
「しばらく由莉奈を抱けないのか。気が狂うかもしれないな」
物騒な物言いなのに、甘い呼び捨て。なにもかもに身を委ねてしまいたくなり、意志が揺らぐ。
けれどダメ。海斗さんは所詮、父の差し金。これからの私の人生、私が考えて生きてみせる。
回している手を掴みゆっくりと解いた後、海斗さんと向き合う形で立つ。
「寝室はわけさせてください。それと、これから一緒に暮らす上での、ルールも決めましょう」
「寝室はわけない」
変わらない穏やかな声で、しかしキッパリと言われる。
「そんな……」
「心配しなくとも、どうせしばらく抱けないんだ。腕に抱いて眠るくらい許してほしいね」
本当に、この人は私と夫婦になるつもりなの?
わからない。海斗さんの本心がどこにあるのか。