独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「食事にしよう」と話は中断され、椅子を引かれるまま座る。
不安げな眼差しを向けるとテーブルには料理が運ばれ、海斗さんも私と向かい合って腰を下ろす。
「これは……」
お洒落なカフェの食事みたいだ。お皿にご飯が盛られ、その上にはチキン。周りにサラダが彩る。
「カオマンガイ風ワンプレート。妊娠していても安心して食べられるようにと、独特な香辛料は使っていない」
プレートにも、添えられたスープにも、野菜がたっぷりだ。栄養を考えてくれたのだろうと、思うと心苦しい。
「気遣っていただいたのに、妊娠していなくてすみません」
謝ると眉尻を下げ、困ったように言う。
「それはもういいから。食べよう」
海斗さんは、食べ始めている。私も海斗さんに倣い、スプーンですくって口に入れる。
鶏肉のうまみとご飯の優しい味付けが口に広がり、かかっているタレも風味豊かだ。
「おいしい」
「そう。良かった」
海斗さんの優しさを感じる料理に、胸が温かくなる。それと同時に、切なくなる。
彼の優しさを、素直に受け取れない。海斗さんの行動には全て裏があるような気がして、純粋に見られない。
ありのままでいられた石垣島の頃の自分を、羨ましく感じた。