独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 食べ終わったのを見計らい「ソファで話さないか?」と言われ、「片付けくらいは、させてください」と立ち上がる。

 昨日は勧められたお風呂に入っている間に、片付けてあった。いくらなんでも甘え過ぎている。

 シンクに運びスポンジを手にすると、私の隣に海斗さんも並ぶ。

「一緒にやろう。その方が早い」

 洗うとすすいでくれて、最後はふたりで食器を拭いていく。

 新婚さんみたい。という浮かれた考えは、続けられる言葉にかき消される。

「俺の申し出を社長が受け入れてくれれば、話は早かったかもしれない。社長は俺が鼻持ちならなかったと言っただろう? よほど嫌だったのか、急いで社内のパッとしない男との婚約を取り付けやがった」

「言葉が乱暴ですね」

「言いたくもなるさ。俺よりもあんな男がいいと言うんだ」

 同意したくなるものの、『あんな男』と言えるほど、彼をよく知らない。婚約者がいるにも関わらず浮気をした部分は、『あんな男』ではあるけれど。
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