ねえ、私を見て
第6章 本気で好き
翌日の朝は、身体が重くて起き上がれなかった。

「会社には、体調不良だと言って、休むんだろう?」

夫はネクタイを締めると、上着を羽織った。

「今日は早く帰ってくるからね。」

夫は私の頬にキスをした。

部屋のドアが閉まり、続いて玄関の閉まる音がした。


家の中にただ一人。

仕事を初めてからは、味わった事がなかった。

「水でも飲もう。」

やっと重い体を持ち上げて、私はキッチンに行った。

ふと床を見ると、昨日の事が思い出された。

熱い抱擁とキス。

そして夫に、久しぶりに激しく抱かれ、私は忘れていた快感を思い出した。

水をゴクンと飲む。

抱き終わった後も、夫は優しかった。

「ごめん。久しぶりなのに、優しくできなかった。」

そう言って、私を抱きしめてくれた。
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