ねえ、私を見て
「くららさん、帰るよ。」

ボーっとした中で、日奈人君の声が聞こえる。

「仕方ないな。」

そう言うと日奈人君は、私を起こしてくれた。

「さあ、行こう。」

優しいその手に連れて行かれ、お店の外に出た。

「家まで送って行くよ。」

「ううん。一人で帰る。」

「ダメだってば。誰かに襲われるって。その状態じゃあ。」

日奈人君は、タクシーを拾うと、私をタクシーに押し入れて、自分も乗った。

「家の場所は?説明できる?」

「うーん……」

家……このまま家になんて、帰りたくない。

「分かんない……説明できない……」

「ちょっと待ってて。」

すると日奈人君は、誰かに電話しているようだった。

「ああ、社長。お疲れ様です。くららさんの家の場所、教えて貰えますか?」
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