ねえ、私を見て
その瞬間、私は目が覚めた。

「それが……くららさんと……」

園子に日奈人君と飲みに行ったなんて、聞かれたくない。

私は日奈人君のスマホを取り上げると、電話を切った。

「私が説明するから。」

そう言って、タクシーの運転手さんに、自分の家の場所を教えた。

走りだしたタクシーの中は、シーンと静まり返っている。

およそこの前まで、熱く抱き合っていた二人だとは、思えない。

「ねえ、日奈人君……」

先に口を開いたのは、私だった。

「どうして、最近冷たくなったの?」

「冷たくなんて、していないよ。」

「ウソ。Lineの返事も来ないし。園子になにか言われたの?」

「言われてないし。それに仕事中だし。」
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