ねえ、私を見て
そして私は、いつもの癖で、キッチンへ行った。

そこにあったのは、終い忘れた包丁。

私は吸い寄せられるように、その前に立った。

これで手首でも切ったら、死ねる?

包丁を手に持つと、包丁を覗き込んだ。

その中に映った私は、髪の艶を失ってボサボサ、顔も生気を失って青白い、寝不足なのか目の下に黒いクマがあった。

まるで死人。

生きてるのに、まるで死んでいるようなのだ。

「はははは……あははは……」

可笑しくて仕方なかった。

「でも大丈夫。これで本当の死人よ!」

私は包丁を手首に押し当てた。


「何やってるんだ!」

突然大きな声がした。

「あっ……」

廊下の方を見ると、夫が立っていた。
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