ねえ、私を見て
「くらら。今月の報酬……」

「やりました。」

「えっ……早い。」

驚いている園子に、笑って見せた。

こんな事で、仕事をおろそかになっちゃいけない。


その日の夜は、久しぶりに腕に寄りをかけて、夕食を作った。

「うん。こんなもんでしょ。」

その時、夫も家に帰って来た。

「ただいま。わー、いい匂い。」

夫は上着を脱ぐと、椅子に座り、はぁーっとため息をついた。

「仕事、忙しくなったの?」

「ああ、また残業になるかもしれない。ごめんな、早く帰れなくて。」

「いいのよ。私が早く帰って、夕食作ればいいんだから。あっ、そうだ。ビール飲む?」

「お願い。」

「私も飲もうかな。」

冷蔵庫に行って、扉を開けた時だ。

急に、吐き気がした。
< 142 / 147 >

この作品をシェア

pagetop