ねえ、私を見て
第2章 涙の訳
その後、家までどう帰ったか分からない。

覚えていないと言う事は、別れ際はあっさりだったか。

そしてもっとびっくりしているのは、日奈人君が何もなかったかのように、目の前で仕事をしている事だ。

「社長、チェックお願いします。」

「はーい。」

園子が日奈人君の側に行く。

あっ、この感じ嫌だな。

一晩夜を共にしたくらいで、彼女面なんてできないし。

でも、日奈人君の隣に、例え園子でも女性がいるのは、嫉妬する。


どうしちゃったんだろう、私。


そんな時、ふと日奈人君と目が合った。

つい、目を反らしてしまう。

すると日奈人君は、私のデスクに近づいてきた。

「身体、大丈夫ですか?」

「えっ?」

身体?体調って事?

「……大丈夫だけど?」

「よかった。」
< 21 / 147 >

この作品をシェア

pagetop