ねえ、私を見て
「はい。」

「必要事項を入力して……」

私は、いつも入力している募集内容を、日奈人君に教えた。

「……最後にここをクリックすれば、終わり。ね。簡単でしょう?」

「はい。」

人に教えるのは、あまり経験ないけれど、こんな説明でよかったかな。

「ありがとうございます。」

「ううん。分からない事があったら、何でも聞いて。」

「はい。」

日奈人君は、何でも”はい”と答える、従順な子だった。

そんな子が、私に特別な想いを寄せるなどありえない。

それが現実だ。


そして仕事が終わって、帰り支度をしていると、先に帰り支度を済ませた日奈人君が、カバンを肩に掛けた。

「お先に失礼します。」

「お疲れ様。」

私の横をスーッと通る彼に、冷たさまで感じた。
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