ねえ、私を見て
「くらら、風邪大丈夫?」

「う、うん。」

私も気を取り直して、バッグを持った。

「じゃあ、お先に。」

「お疲れ様ね、くらら。」

園子に挨拶をして、オフィスの外に出た。

エレベーターに乗ると、ふいに誰かに腕を捕まえられた。

「ひゃっ!」

「しっ!俺です。」

振り返ると、日奈人君が立っていて、エレベーターの扉が閉まった。

「どうしたの?先に帰ったんじゃあ……」

「くららさんを待っていました。」

「えっ?」

壁に背中を押し当てると、日奈人君が私の手を握りしめた。

「あの……」

「ホテル、行きます?」

日奈人君の方を見ると、下を向いている。

「いいよ。」

驚いたように、日奈人君が顔を上げた。

「したいんでしょ。」

すると日奈人君は、私の頬に手を当て、キスをしてきた。
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