ねえ、私を見て
「えっ……」

私は日奈人君の上着を脱がせ、シャツのボタンを一つずつ外した。

「待って、くららさん。」

顕わになった上半身に、キスをしまくった。

「くららさん……」

ズボンのベルトを外した時に、私は日奈人君の手に引かれ、ベッドの上に押し倒された。

「悪い人だな。」

「皆している事でしょう?」

「それでも悪い。」

すると日奈人君は、私の首筋に貪りついてきた。

「俺をこんなに夢中にさせて、悪い人だよ。くららさんは。」

日奈人君の手で裸にされ、私達は一つになった。

「日奈人君……」

「くららさん……」

切なく呼ぶ声に、私の身体も応える。

日奈人君に抱かれてる間、私は彼の匂いに包まれていた。

この匂いが好き。

でも夫とは違う匂い。

私はどこか、罪悪感を拭えなかった。
< 60 / 147 >

この作品をシェア

pagetop