ねえ、私を見て
「あら、澤田さんの奥さん?」

ふいに聞いた事のある声に、日奈人君から体を離した。

「こんなところで、お買い物?」

「はい。」

見れば、隣のマンションの奥さん。

部屋が隣だから、いろいろとベランダ越しに聞いてくる。

「いいわね。まだお子さんがいらっしゃらないから、自由にできるのよね。」

「いいえ。」

たまにこうして、嫌みを言ってくるのよね。

まいっちゃう。

「ところで、そちらの方は?」

予想通り、日奈人君の事を気にしている。

「親戚の子なんです。」

「まあ!カッコいいわね。まだ学生?」

「はい、大学四年です。」

日奈人君も当たり障りのない対応で、ほっと安心した。

「ふふふ。もしかして、旦那さんに隠れて、浮気でもと思っちゃった。ごめんなさいね。」
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