ねえ、私を見て
「いえ、気になさらないで下さい。」

「じゃあね、また。」

「はい。」

私がほっとしたのを見て、日奈人君はクスクス笑っている。

「見られた時には、どうしようかと思ったね。」

「そうね。ああ言う人は、直ぐに噂を流すから。」


日奈人君の事、噂に流されたら?

― 澤田さん、大学生の男の子と一緒に歩いていたわよ -

― やだ、不倫?-

― 大人しい振りして、よくやるわね -

そんな声が聞こえてきそう。

「それにしても、親戚の子ね。」

「えっ?」

日奈人君は、私を見てニヤニヤしている。

「その親戚の子に、いつも抱かれているの?」

耳元で囁かれた言葉に、顔が熱くなった。

「くららさん、来て。」

「えっ?」
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