ねえ、私を見て
夫の唇と私の唇が重なる。

久しぶりのキス。

1年振りだろうか。

唇が離れて、私は照れている振りをした。

まさか夫は、私が不倫しているとは、思うまい。

「さあ、行こう。」

夫は肩を叩いた。

「うん。」

夫はそのまま上着を着て、一緒に家を出た。

「どこに行く?」

「ああ、駅周辺はどう?」

「いいね。この辺で飲むのも、久しぶりだな。」

結婚当初は、よく駅周辺に飲みに来ていた。

それが、どんどん数が減って来て、それと共にセックスの回数も減っていった。

「これ、新しい店だね。」

夫が見つけたのは、最近駅にできた、新しいピザのお店だった。

「ここにしない?」

「うん。」

お店のドアを開けると、人気店なのか、人でにぎわっていた。

「こちらへどうぞ。」
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