政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
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それから三日が過ぎた土曜の午後。菜摘が農園の様子を見終わって帰宅すると、朝早く仕事に出かけた理仁がいた。
「おかえりなさい」
「大地くんもおかえり」
優しい微笑みで返されてとても照れくさい。
美代子に正体がばれてからというもの、理仁の菜摘に対する距離がなんとなく近くなった気がしてならない。
一緒に生活するようになったため自然と打ち解けたせいもあるのかもしれないが、話をするにしても単なる挨拶にしても、実際の距離が狭まっている。男同士でもこんなに近づくの?と不思議なほどに。
「これからプールでひと泳ぎするけど、キミもどう?」
理仁はハーフパンツにパーカーを羽織っているが、よく見れば水着だった。大地の分なのか、片手にもう一着の水着を持っている。
「いえ、遠慮します」
プールで泳いだら元も子もない。それ以前に水着すら着られない。