政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
今度は手を取られ、そのまま強く引き寄せられる。あろうことか、そのままプールにドボン。胸のあたりまで浸ってしまった。
「ちょっ……」
これはとてもまずい状況だ。
(このまま無理やり泳がされでもしたらウィッグが外れて……。それどころかTシャツをまくり上げられでもしたら……)
恐ろしい予感に、寒くもないのに体の芯が冷える。
(とにかくプールから上がらなくちゃ)
焦ってプールサイドに伸ばした手を再び理仁に掴まれた。
「大地くん」
見上げた理仁の目が真っすぐ菜摘に注がれる。
どことなく熱っぽく見えるのは菜摘の勘違いだろうか。
「俺が本当は……」
変なところで理仁が言葉を止める。