政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
そんなレストランがあるとは知らなかった。
その光景に見入りながら足を進めていく。ゆったりとした間隔で並んだテーブルは、すべてがソファ席。隣を気にせず快適に過ごせる配置だ。
カップル用なのか、ふたり掛け用のソファとテーブルという組み合わせもあり、菜摘たちはそこへ案内された。
理仁と並んで腰を下ろしたときだった。
「理仁、来てくれたのか」
親しげな様子で男性が声をかけてきた。理仁の背中をトンと叩き、人懐こい笑みを浮かべる。
スラッと背が高く、甘さを秘めた二重瞼に高い鼻梁。自然と口角が上がった穏やかな印象の顔立ちだ。薄明りでも容姿のよさが際立っている。
「一樹が造った場所に足を運ばないわけにはいかないからね」
お互いに呼び捨てにするくらいだから友人だろう。
菜摘は目にも麗しいふたりのやり取りを聞きながら静かに待った。
「菜摘、こちらは久城一樹、俺の高校時代の一年先輩」
「先輩なのに、この通り呼び捨てはするしタメ語だけどね」