政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

達観したようなことを言う。


「この家に来てからは俺、ねえちゃんにいっぱい面倒みてもらったしさ。親が亡くなったときのことはもうおぼろげな記憶だけど、いっぱい泣いてねえちゃんを困らせたのは覚えてるんだ。だから、ねえちゃんには絶対に幸せになってもらいたい」
「やだ、突然なによ……」


いきなりそんなことを言われて、不覚にも目の奥がじわっと熱くなる。当時を思い出したのと、大地の大人びた発言に少なからず感動したせいだ。

大地は歯を見せてニカッと笑い、「あぁ、うめえ」とビールで喉を鳴らした。

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