政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

鋭い視線は菜摘の行動をすでにお見通しのようにも見える。


「あ、えっと……実家に……」


理仁から盛大なため息が漏れた。


「ダメ。危険だから行かせない」


菜摘の両肩に手を置き、理仁が首を横に振る。


「でもハウスが」
「補強はしっかりしてあるんだろう?」
「そうなんですけど心配で」


今行って点検すれば、まだなにかできることがあるかもしれない。やったつもりでも、忘れていることだってあるかもしれない。
引き留められると、余計に行かなくてはという焦りが生まれてくる。


「心配でもなんでもダメなものはダメだ」
「でもっ」
「いいから落ち着け」


理仁は菜摘の肩をトントンとし、顔を覗き込んだ。
< 194 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop