政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
鋭い視線は菜摘の行動をすでにお見通しのようにも見える。
「あ、えっと……実家に……」
理仁から盛大なため息が漏れた。
「ダメ。危険だから行かせない」
菜摘の両肩に手を置き、理仁が首を横に振る。
「でもハウスが」
「補強はしっかりしてあるんだろう?」
「そうなんですけど心配で」
今行って点検すれば、まだなにかできることがあるかもしれない。やったつもりでも、忘れていることだってあるかもしれない。
引き留められると、余計に行かなくてはという焦りが生まれてくる。
「心配でもなんでもダメなものはダメだ」
「でもっ」
「いいから落ち着け」
理仁は菜摘の肩をトントンとし、顔を覗き込んだ。