政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「……ごめんなさい」
「ま、そんなところが菜摘の魅力でもあるけど」
恥ずかしさとうれしさがないまぜになる。
理仁の目を見ていられず、ゆらゆらと視線を彷徨わせてから彼の胸もとで止めた。
やるだけのことはやった。あとはもう運を天に任せる以外にない。
「明日、台風が去ってから一緒に見にいこう」
「でも日高さんは仕事が」
明日は平日だ。
「仕事はそれからでいい。菜摘は心配するな」
ポンポンと頭を撫でられ、心が穏やかになっていく。
理仁の言葉と手はまるで魔法。取り乱していたのが嘘みたいだ。
「ありがとうございます」
「じゃ、お風呂に入っておいで。今夜はゆっくり休んで明日に備えた方がいい」
「はい」
返事をした菜摘の肩をくるりと反転させ、その背中を優しく押す。
「台風が怖いなら俺も一緒に入るけど」
「だ、大丈夫ですから!」
耳もとで囁かれたうえ耳たぶにキスまでされ、菜摘は大慌てでリビングを飛び出した。