政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
道路に散乱した障害物を避けながらタクシーが進んでいく。菜摘が通ってきた道路以外の場所も似たような惨状だった。
精算を済ませ、タクシーから文字通り飛び出す。一目散に畑に向かった菜摘の目に入ったのは、想像のはるか上を行くビニールハウスの惨状だった。
(嘘でしょ……)
ねじれたように曲がったハウスのパイプ。ビニールは吹き飛ばされ、あちらこちらに散り散りになっていた。
頭が真っ白になり、なにも考えられない。ただ茫然と、悲惨な光景を見て立ち尽くした。
大地とふたりでやった補強は、まったく歯が立たなかったらしい。
「ねえちゃん!」
家から出てきた大地に大きな声で呼ばれてやっと我に返る。
「……大地」
振り向いて呼び返した声は力が入らず、息漏れとほぼ一緒。その場に座り込みたい気分だった。