政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「こんなにひどい状態なのに、大地はなんで笑っていられるの?」


大地にとって農園はどうでもいいのか。和夫が大事にしてきたものが破壊されたのになんとも思わないのか。
菜摘は憤りを抱えて大地を強く見つめた。

その視線を怯みもせずに受け止めた大地が真顔になる。


「ふたり揃って落ち込んでいたら、なんも始まらないだろ」
「……え?」
「俺だってショックに決まってるじゃないか。じいちゃんとねえちゃんが大事にしてきたハウスがこんな状態になってるのに平気なわけがない」


よく見れば、大地はメガネの下にくまを作っていた。菜摘同様、昨夜は眠れなかったのかもしれない。
それなのに一方的に他人事だと決めつけ、大地に怒りをぶつけるなんて。


「ごめん。そうだよね」


大地だって平気なはずがないのだ。これでは単なる八つ当たり。五つも年上なのに感情をコントロールできないとは情けない。
菜摘はシュンと肩を落とした。
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