政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
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翌朝、菜摘が目を覚ましたときには、理仁はすでに出勤した後だった。いつもなら六時には目覚めるのに、うっかり寝過ごして八時過ぎ。急いで着替えてダイニングへ顔を出したら、テーブルには美代子が作ってくれた朝食が残されていた。
美代子も出かけているのか、家の中に菜摘以外の気配はない。
昨夜はお風呂と食事を済ませてから部屋のベッドで朝までぐっすり。途中一度も目覚めず、目を閉じて開けたら一瞬で朝になった感覚だった。
(日高さんは大丈夫かな。きっと疲れてるよね……)
菜摘の比ではないくらい力仕事をして、理仁の疲労は半端ではないだろう。そう思うと心配だった。
朝食を食べた菜摘は、昨日片づけた苗の手直しをするために農園に向かった。
ひとつずつ注意深く観察してみたら葉や実に傷がついている。苗を栽培していたハウスは倒壊を免れたが、ビニールが飛ばされて雨風にさらされたせいだろう。
バラ科の植物はとても繊細で、湿度や水分量をコントロールして育てるのがとても難しい。同じくバラ科のイチゴもデリケートなため、一日水をあげなくても逆にあげすぎても、すぐに調子を崩してしまう。
普段はハウスの中にいるイチゴが雨に降られたり風に吹かれたりすれば傷がつき、そこから病気になるのだ。放っておけば無傷のイチゴにも病気が移る可能性もある。