政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
菜摘は急いで準備をして、一つひとつ丁寧に消毒をはじめた。
そうして半分ほど終えた頃、大地が「ふわぁ」と大きな欠伸をしながら菜摘のもとへやって来た。
「ねえちゃん、来てたのかぁ」
「今起きたの?」
「うん。すげえ疲れちゃってさ」
見上げた顔には疲労の色が残っていて、まだ寝足りないのか目を懸命に擦る。
そんな様子を見ると、理仁の調子が余計気になる。彼より十歳以上年下の大地がこの状態なのだ。きっとクタクタどころではないだろう。
「今日はバイトも休みだし、俺も手伝うよ」
大地は首にかけていたタオルをねじり鉢巻きにした。寝ぼけ眼だったのに急に精悍な顔つきになる。
「大地、大人になったよね」
その横顔を見つめながら菜摘がしみじみ呟く。
「いきなりなんだよ」
「なんか頼もしくなったなって。昨日も落ち込んだ私に発破をかけてくれたでしょ?」