政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「おいしいケーキも作れるし」
あぁ最高と顔をとろけさせた。
「山崎さんって、そんなにすごいパティシエなの?」
メディアでも引っ張りだこだと、以前郁子が言っていたのを思い出した。
「やだなぁ、ミレーヌの社長に嫁ぐのに知らないの?」
「勉強不足ですみません」
わざとらしく嫌味っぽい口調で言った郁子に大真面目に謝る。
「フランスでも有名だったからね。日本人だから余計に目立ってたみたいよ。そんな彼女だから、ミレーヌの要請にあっさり応じてびっくりした」
「日高さんとは高校時代の先輩後輩なんだって」
「え、そうなの?」
うんと頷く。
「だから日本に帰ってきたのかぁ。よほど親しかったんだね」