政略結婚の甘い条件～お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました～

でも……。


「お仕事が忙しくて話しそびれているんだと思います」


理仁と気持ちが通じ合った今、悪い方向に考えたくなくて、自分にも言い聞かせるつもりで言う。

（きっとそうだよね。理仁さん、忙しいから）

べつに変な意味はない。


「そうだといいけど。でも私ちょっと思ったの。お互いに両親を亡くしたっていう境遇が似てるから、理仁くんは菜摘さんと結婚しようとしてるのかなって。同情っていったらいいのかな」
「……はい？」


思いも寄らない方に話が転がっていく。


「理仁くん、自分と重ね合わせたんじゃないかな。菜摘さんが彼の両親のことを知らないっていうから、余計にそう思えてきちゃった」


エリカはあっけらかんと言ってクスッと笑った。笑うような話では決してない。

理仁が菜摘に自分を重ね合わせていた？　同情したから結婚？