政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
そんなことで理仁が結婚を決めたとは思いたくなくて、菜摘に反発心が芽生える。
「違います。話すきっかけがなかっただけなんだと思います。同情で結婚なんて」
「それじゃ、イチゴの新品種がほしかっただけなのかな」
今度はイチゴまで持ち出してきた。
「菜摘さんのおじい様、一年中採れるイチゴを開発したって有名だから。それを独占したくて菜摘さんとの結婚を無理に進めたのね」
エリカから繰り出される発言の数々が、じわりじわりと菜摘を追い詰めていく。
彼女の言葉は以前、菜摘が心の片隅で考えていたことそのものだった。それ以外に、菜摘と結婚する理由がないから。
ファインベリーはミレーヌにとって待ち望んでいる商材。それを手に入れたいと考えていたところへきて和夫から借金に関する相談があり、これ幸いと菜摘との結婚を条件に救済を了承した。
理仁が菜摘を好きだというのにも無理があると最初は感じていたのに。彼に対する想いが大きくなるにつれて奥深くに押し込めて、見えないようにしたため忘れていたのだ。