政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

理仁の結婚に納得がいかず、せめてもの報いで菜摘に接触してきたに違いない。

彼の両親のことはたしかめていないからなんとも言えないとしても、ファインベリーが目当てなのは明らか。わかっていたくせに傷ついたのは、菜摘が本気になってしまったからだ。
農園を救ってもらうのが目的だったのに、理仁の心までほしくなっている欲張りな自分に嫌気が差した。


「明日にはあっちに帰るんだろ?」
「うーん、でも、まだ台風の片づけも完全じゃないからね」


帰るにしても、気持ちの整理をつけてからでないと無理だ。


「もしかして日高さんとケンカでもした?」
「ケンカなんてしてないよ」


菜摘が勝手に落ち込んでいるだけ。


「そ? ならいいけど」


大地はスプーンを持って「いただきまーす」とチャーハンをすくって口に入れた。
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