政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
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コンテスト終了後、理仁は会場から出てきたエリカを捕まえ、ホール近くにある控室として使った部屋に引き入れた。
白いコック帽を外したエリカは、コンテストで手ごたえを感じたのか高揚した表情だ。
「コンテスト、お疲れ様」
「ありがとう。かなりいい出来栄えだったでしょう?」
「そうだね。それで菜摘となにを話した?」
労いもそこそこに早速切りだす。
「やだなぁ、理仁くん。そんなにせっつかないで。疲れたから座ってもいい?」
エリカはテーブルに収めてあった椅子を引っ張り出し、そこに腰を下ろした。理仁も座ったらどうかとエリカが隣の椅子を引いたが、理仁は首を横に振りテーブルに体をもたれかけた。
「理仁くん、彼女にご両親の話をしてなかったのね」
「両親の話? ……菜摘になにか言ったのか?」
目を細めてエリカを見つめる。