政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「あ、そうじゃないんです。うちもかなりやられたんですけど、台風の翌日に復旧作業をしたので」
「え? 菜摘さん、おひとりで?」


竹之内が目を剥く。和夫が入院中のため、そう思ったのだろう。でも、さすがにそれは無理だ。


「いえ、ひとりではとても」
「ですよね。あ、大地くんですか」
「ええ、まぁ大地も一緒でしたが」
「頼もしい弟さんですね」


たしかにかなり頼もしくなった。
わざわざほかにも手伝ってもらったと言わなくてもいいだろうと、菜摘も竹之内に合わせてニコニコと返した。


「ところで菜摘さん、今日はまだ作業の方はかかりそうですか?」
「そろそろ終わりにしようかなとは思ってますけど……?」


竹之内はなにやら言いにくそうにしながら頬や鼻の下を擦る。


「……竹之内さん?」
「あぁえっとですね、その……よろしかったら夕食でもご一緒しませんか?」
「えっ?」
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