政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「ミレーヌって、あの? えっ、社長?」
最後の言葉がワントーン上がる。
竹之内もすぐにわかるのだから、やはりミレーヌの知名度は高いようだ。
「ええ。JAさんだったんですね。菜摘がいつもお世話になっております」
丁寧に受け答えをしているが、理仁の目はいっさい笑っておらず、友好的な雰囲気はまるでない。
「い、いえ、こちらこそ」
それを感じ取った竹之内もタジタジだ。
「……菜摘さん、そんな方がいらしたんですか」
このまま本当に結婚になるのかはわからなくなったが、今ここで否定するのはおかしいだろうと菜摘は「はい」とだけ答えた。なんとなく目を見られず俯く。
「近々入籍をすることになっておりますので、妻となる彼女へのお誘いは今後差し控えていただけないでしょうか」