政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

お伺いではなく強制。絶対にするべからずといったニュアンスだった。


「は、はい」


竹之内がじりっと後退りをするくらいだから、よほどの威圧感だったのだろう。


「……では、私はこれで失礼します」


ペコッと頭を下げて回れ右。彼は足早に立ち去っていった。

意図せず理仁とふたりきりになり、なんとも心細い。
イチゴを作るのは大好きだし農家の娘であるのは誇らしいが、理仁のような素敵な男性が本気で自分を好きになるはずはなく、やはりファインベリーが目的だったのだと考えざるを得ない。家族の話すら聞かされていないのが、その証。

理仁の気持ちに嘘はないと思ったのも束の間、エリカのひと言で自信は脆くも崩れ去っていた。

でもそれでもいい。理仁がファインベリー目当てで菜摘と結婚するのだとしても、農園は救えるし、大好きな彼のそばにもいられる。
それなら今は彼の心が自分に向いていなくても、長い年月をかければ好きになってくれる可能性はゼロではないはずだ。
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