政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

◇◇◇◇◇

翌日、土曜出勤した理仁が夕方に帰宅してすぐ、菜摘たちは和夫の入院する病院へやって来た。もちろん、和夫にふたりの結婚を報告するためだ。
繋いだ手が照れくさくて、病室に入るときにはやけに緊張して深呼吸を繰り返すほど。いつも冷静で余裕綽々の理仁でさえ、肩に力が入っているように見えたから余計だ。

和夫はまさかふたり揃って現れるとは思っていなかったようで、顔を覗かせたときには老眼鏡を掛けたり外したりで落ち着きを完全に失くしていた。


「佐々良さん、改めて申し上げます。菜摘さんとの結婚をどうか許していただけないでしょうか」


両脇に手をピタリと合わせ、理仁が深く腰を折る。


「日高さん、頭をお上げください。許すも許さないも……」


いきなり結婚の挨拶をされ、和夫はどう答えたものかといった感じに目を白黒させた。


「菜摘さんにもようやく了承していただけたので、当初の予定通りにこのまま結婚したいと考えております」
「そうでしたか……」
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