政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

その後、区役所の休日窓口に婚姻届を提出。ふたりは晴れて夫婦になった。
緊張の面持ちで届けを差し出したが、「お預かりします」のひと言だけで拍子抜け。〝おめでとうございます〟もなかったため、菜摘は理仁と顔を見合わせて苦笑いだった。
ドラマチックななにかがあるかというのは勝手な想像で、意外とあっさり夫婦になれるものだ。

ふたりが帰宅すると、普段ならまだいるはずの美代子の姿がない。


「美代子さん、どこかに出かけたのかな」


なにか買い出しにでもいったか。でも、すべて綺麗に片づいていて家事をやりかけの様子もなかった。


「今日は早くあがってもらったんだ」


ポツリと呟いた菜摘の言葉を理仁が拾う。


「そうだったんですか」
「今夜は誰にも邪魔されずに菜摘とふたりきりになりたかったから」


後ろから抱きすくめられ、心臓が飛び跳ねる。


「……あ、あのそれじゃ、私が夕食を作りますね!」
< 282 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop