政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
不満そうに菜摘を軽く睨むが、その目には照れも滲んでいる。
「ごめんなさい。でもお仕事で忙しいから、やりたくてもやれないだろうなって」
素直に謝って言い訳めいた言葉も続けた。
そもそも美代子のような家政婦がいれば、料理する機会自体がないだろう。
「でも心配するな。今夜は美代子さんがレシピを残してくれてる」
理仁はダイニングテーブルに置いてあった用紙を手に取った。それを菜摘にかざして見せる。〝ほらね〟といった表情だ。
なんのレシピかと思ったらビーフシチューだった。食材は美代子が冷蔵庫に用意しているらしい。
「だから菜摘はこっちで待ってて」
理仁は菜摘の体を反転させ、リビングまで背中を押した。菜摘の両肩に手を置いてソファに座らせる。
「大丈夫なんですか?」
「なんだよ、俺はずいぶんと信用されてないな」