政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

信用するしないではなく、目玉焼きしか作ったことのない人間が、レシピがあるからといっていきなり料理ができるのかという心配だ。包丁だって使ったことはあるのだろうか。


「まぁゆっくりテレビでも観てな」


そこまで言っているのだから、必要以上に心配しなくてもいいだろう。せっかく理仁が作ってくれるというのだから。


「それじゃ、よろしくお願いします」
「任せてくれ」


相当自信があるようだ。理仁はワイシャツの袖をまくり上げ、意気揚々とキッチンへ向かう。これでも飲んで待っていてと、紅茶まで淹れるサービス付きだった。

体をソファの背もたれに預け、ティーカップに口をつける。

(……ん、おいしい)

いつだったか美代子が淹れてくれたフレーバーティーだ。甘い香りに癒される。

菜摘がホッと息をついていると、ふとキッチンから大きな音が響いてきた。鍋かなにかを落としたような音だ。
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