カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


「美澄さん、ようこそおいでくださいました」


 千里さんが手がけた店の制服を着た男性が、愛想良く声をかけてくる。彼が和カフェの店主だそうだ。


「本日はお招きありがとうございます。来週からの開店準備は順調ですか?」

「はい、おかげさまで着物割引のお客様の予約も増えております」


 にこにことした店主は、後ろに控えていた私にも挨拶をしてくれた。


「奥さまも、わざわざありがとうございます」

「いえ。こちらこそ、私まで招待していただきありがとうございます。とても素敵なお店ですね」

「美澄屋さんに仕立てていただいた制服に合うように内装にもこだわったんです。本日は、我が店自慢の甘味をぜひお楽しみください」


 奥さまと呼ばれて、慣れない呼称に少し恥ずかしく思いながらも、案内された席に座る。

 彼と向かい合ってメニューを開くと、目を引かれる品ばかりだ。

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