カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


 手の甲で軽く頬を撫でられ、ドキンと胸が鳴った。その仕草があまりにも優しくて、触れられた感触に体が固まる。

 今日の私はどこか変だ。じゃれるようなスキンシップはいつものことなのに、ふとした仕草に反応してしまう。


「この後は、次の予定まで近くを散策しようか。和カフェのオープンに合わせて、通り全体を京風にアレンジした期間限定の催しがあるんだ」


 さりげなく手を繋がれ、心が温かくなる。慣れないため緊張で手汗を気にしていた朝とは違う。

 彼の大きな手に包まれて引かれるだけで、安心感が胸に広がった。


「次の予定って、なんですか?」

「秘密だよ」

「ええ、また……!」


 きっと、くるくる変わる私の表情を見て楽しんでいるんだ。

 彼は出会った頃から予想もつかないことばかりをしてくるけれど、一緒にいて、とても居心地がいい。

 隣に並ぶのがあたり前になっていく日常に、口元が緩んだ。

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