カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
テーブルの上に差し出されたスマートフォンには、例の写真が映し出されていた。
初めて見たときは衝撃で意識が飛びそうになったが、今の私は動じない。
「へぇ、そうやって桃を脅していたのか」
低い声がふすまの向こうから聞こえる。ふたりそろって顔を向けると、開いた先に見えたのは冷ややかな表情をした千里さんだ。
予想外の人物の登場に、美冬さんは青ざめている。
「千里、どうしてここに。今日は商談が入っているはずでしょう」
「先方の都合で夕方からなんだ。まさか、そこまで把握していたとはね。時間までは分からなかった?」
さらりと答えて部屋に入ってきた彼は、机の上のスマートフォンを手に取った。映し出されている写真に眉を寄せている。
緊張しながら見つめていると、小さく息を吐く音が耳に届く。
「たしかに、これは俺だ。でも、ホテルにはひとりで泊まったし、一緒に飲んでいたのも美冬じゃない。それは、自分が一番わかっているよな?」